すずまき*本と、紅茶と、あの頃と。#3




#3「のだめカンタービレ」× MARIAGE FRERES WEDDING IMPERIAL


子供の頃からクラシックは好きなほうでした。
常にクラシックが流れている居間で紅茶を飲む…ような高尚な家庭ではありませんでしたが。

初めて聴いたクラシックで覚えているのは、J.S.バッハの「ポロネーズ」(管弦楽組曲第2番ロ短調 BWV.1067)。
確か小学校2年生の頃、音楽の授業で聴いて、すごく綺麗な曲だなぁと子供心に思いました。
以来、音楽の授業で聴くクラシックが大好きになりました。

ピアノは同じくらいの頃からずっと習いたかったのですが、当時の家がマンションで狭かったので習わせてもらえませんでした。
ピアノを弾ける友達がとても羨ましかったです。

クラシック好きに火が点いたのは中学生になってから、吹奏楽部に所属してからです。
ピアノ習いたい熱が再燃したのもその頃からでした。
親に頼み込んで頼み込んで、ようやくピアノを習い始めたのは高校2年生になってからでした。
中学高校時代は吹奏楽の曲はもちろんのこと、オーケストラからピアノ曲を中心に、CDでいろんな曲を片っ端から聴きました。
クラシックの知識も徐々に増えていき、大学に入る頃には周囲の子たちより少しだけクラシック通になっていました。
吹奏楽部は高校までで辞めてしまいましたが、大学時代に所属したサークルの発行するミニコミ誌でクラシックのコラムを書いたこともあります。

社会人になっても、ピアノだけは続けていました。
下手の横好きではありましたが、毎年発表会にも出させていただいていました。
たまにオーケストラを聴きに行ったり、気に入った曲はCDを買ったり、わたしの中でクラシックはわりと日常的なものでした。

そんな時、友達から「のだめカンタービレ」(以下「のだめ」)を勧められます。
特にクラシックに何の思い入れもなさそうな友達が「面白いよ〜」と言うのだから、よほど面白いのだろうと思いつつ、読むタイミングを逃していました。
ちょうどドラマ化される頃だったので、まずはドラマから入ることにしました。

…なにこれ、めっちゃ面白い!!!

ドラマを観て、すぐに本屋さんに走りました。
その時出ていた全巻(12巻くらいだったかな?)を大人買い。
貪るように読んで、読んで、読んで、知らない曲はYouTubeで探して聴いて、聴いて、聴いて。
「のだめ」のお陰で(千秋先輩のお陰で?)クラシックの知識が更に増えました。

「のだめ」と出会って少し後、引越しの為にピアノは辞めてしまいました。
その後離婚やら何やら、個人的にわちゃわちゃしましたが、わたしの中でクラシックが鳴り止むことはありませんでした。
「のだめ」を何度も読み返して、たまにオーケストラも聴きに行って、家でもCDを聴いて。

そんなある日、「のだめ」で培ったクラシックの知識が、とうとう陽の目を見る(?)出来事が起こるのです!

離婚して2年経ち、わたしは婚活を始めました。
その婚活中に出会った男性、彼とはわりと話も弾み、趣味も合ったので、何度かデートをしました。
そして4回目か5回目くらいのデートで、とある劇場にミュージカルを観に行ったのです。
ミュージカルを観た後、喫茶店でお茶をしながらの会話で、彼が尋ねました。

「この劇場来たことありましたか?」

「はい、オーケストラの演奏を聴きに何度か…」

わたしがそう答えると、彼は嬉しそうに目を輝かせました。

「クラシック、お好きですか???」

彼はクラシックに詳しくはないけれど、聴くのは好きでコンサートにもたまに行くのだと
話してくれました。

そこから話が盛り上がったのは言うまでもありません。
今度はオーケストラを聴きに行きましょう! と、次のデートの約束もしました。

…はい、これが今の夫との馴れ初めです。

「のだめ」で培ったクラシックの知識が、ふたりのキューピッドになってくれました。
この年から毎年、ゴールデンウィークに東京で開催されるクラシックのイベント「ラ・フォル・ジュルネ」にふたりで欠かさず参加しています。

「のだめ」とクラシックに合わせたい紅茶は、マリアージュフレールのウェディングインペリアル。

マリアージュフレールはのだめと千秋先輩の留学先、フランスはパリの老舗の紅茶屋さんです。
フランス、パリに紅茶屋さんはいろいろありますが、何故マリアージュフレールを選んだかと言うと、夫からの初めての誕生日プレゼントがマリアージュフレールの紅茶とプロポーズだったから。
故に、敢えて代表作マルコポーロではなくウェディングインペリアルにしました。
のだめと千秋先輩もおそらくゆくゆくは…だろうし。
ちなみにパリは新婚旅行でも訪れて、「のだめ」ゆかりのポン・ヌフやオルセー美術館にも行きました。
もちろんマリアージュフレールのパリ本店にも。

クラシックのように重厚で格式高く気品のある、ウェディングインペリアルの甘くビターなキャラメルの香り。
水色はまるでヴァイオリンやチェロの表板のように美しい茶褐色。
飲むたびに千秋先輩の指揮するルー・マルレ・オーケストラのハーモニーが聴こえてきそう…。
歴史あるコンサートホールでクラシックを聴いた後に、ゆっくりとサロンで飲みたいような紅茶です。

いつかふたりで本場のオーケストラを聴きたいものです…。
ヨーロッパは湿度が低いので、音が違うそうですよ。
…これも「のだめ」で得た知識でした…。
「のだめカンタービレ」二ノ宮知子 著
講談社Kissコミックス(2001年〜2010年)






photo & text by すずまき

紅茶コーディネーター、紅茶学習指導員。
普段は某大学で図書館司書(パート)の仕事をしています。
学生の頃の夢は「良妻賢母な司書の小説家」…とりあえず 「妻」と「司書」にはなれました。
書くことが好きで、書き出すと止まらなくなります。





はちみつバード

わたしたちの日常はふと、 ノスタルジックなファンタジアに彩られる。 わたしだけが選べる、わたしだけのかわいい日常。 ことばと。写真と。

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