王道青春ラブコメ映画と僕の放課後 【前編】



勝手放題、書くことに致しました。

たとえ映画についての何かという体裁にならなくても

構わねえやという決心だ。 (開き直ってやがる……)


さて 表向きといいますか、見栄といいますか、

「あ? 好きな映画監督? ベルトランブリエだよ」

なんて普段は気取った映画好きのふりをしている僕なんですが、

一等のめりこんだのは青春映画なんざんす。

青春映画というよりもガーリーなラブコメ物といいますかね。

畢竟、他所様には隠してまいりました……


十二歳かそこら辺りから、

ジョンヒューズ監督(もしくは脚本等)の映画を ビデオで観るようになりました…… 

所謂、80 年代青春映画ってやつだね。(ブラット・パック映画という呼び方もございます)

大概がモリー・リングウォルドさんが主演……

斯様な作品のお決まりといいますか、定番といいますか、

プロムに誰と行くのか、これが必ずといってクライマックスになります。(毎度だぜ……)

どれもこれもプロムで大団円。

加えて、この頃の青春映画の登場人物についてなんですが、親の職業や懐具合によって、

その子供達(登場人物ね)のグループが分かれており…… つまりは学園ヒエラルキーね。

それが主人公を毎度のように悩ませる、これもまた定番になってんのよ。


まあ、結局のところ、そういう家柄だとかヒエラルキーだとかを乗り越えて、

好きな者同士なら銭のハナシなんて忘れちまおう、親がなんだ、将来がなんだ、

さあ、プロムだ、ラストダンスだ……というような映画がものすんごく多かった、

というような印象がございます。


ジョンヒューズ監督の映画で一等好きなのは

『恋しくて』1987年

僕が髪の短い(ボブじゃねえよ)女ん人に 知らず好意を思ってしまうのは、

この映画の所為やもしれねえです。

まあ、どうでも いい話だ。そうだろうが、え?

加えて

『ブレックファスト・クラブ』1985年

時代もあって使われている音楽は本当にどうしようもねえんですが、

例のダンスシーンを観る度、

どうにも解らない感傷や昂ぶりの綯交ぜになったもんを思っちまうんです。

 だからどうしたっていう話なんですがね。



さて 90年代からゼロ年代、一層、物語も登場人物も軽薄になり、

ところが、却って娯楽映画としては随分面白くなりました。


『クルーレス』1995年

『恋のからさわぎ』1999年(ヒース・レジャーやジョセフ・ゴードンなどが出演してる……)

『シーズ・オール・ザット』1999年(レイチェル・リー・クッ ク主演)

『チアーズ』2000年(これはスポ根系か……)

『ミーン・ガールズ』2004年(リンジー・ローハン主演)

『アメリカン・ピーチパイ』2006年(アマンダ・バインズ……)

うーん、なんて王道な…… きっと映画通の方々も観ていらっしゃるとは思いますが、

けして名作とは言わねえでしょうよ、こういうのは。

名作ではないのだけれど、 頭空っぽで観て面白がれる類の映画だって、

頭空っぽで観て面白がれるように工夫しているわけだ。

そういう工夫や演出に対して僕は…… 僕はの後が続かないからいいや、このハナシは。


90年代以降も

親が金持ちかどうかのヒエラルキーや、

人気者グループ(アメフト選手とチアリーダー軍団など)と

ナード(おたく)の対立やら惚れた腫れたやら……

こうした雛形みたいなのは引き継がれていきます。

そしてやはりプロムやらパーティーやらで何もかも決着する…… それでいい。

こういう映画はそれでいいと思う。少なくとも僕は。

ところが アマンダ・バインズが変になっちゃってから、

(他人の家だか敷地だかに勝手に入って焚火したらしいね……)

如何にもお気楽青春映画ってのが少しずつ単純性や定番王道の筋書きなどを失って、

もうちょっと整った真っ当な映画になったり何だり……

うーん、廃れていくばかりというようにも見える。


ともかくとして、80年代にしろ、90年代にしろ、

 自分を信じろ、自分を持て、自分を変えるな、

自分を欺かず押し通したっていいんだ、解ってくれる奴はどこかにいるさ、

こういう意識が共通のそれとして窺えます。(そうかなあ?)

如何にもアメリカらしいといいますか、 主体性っていうのかな。

日本において主体性ってのは 架空のそれみたいなもんだからねえ……

ガキの頃から取り除かれてきたからねえ…… 

畢竟、お上が正しいの。従ってりゃいいの。そうしなきゃハミだすぜ……

これが僕たち国産の模範的人格として……まあ、いっか。


ここでやっと

『レイチェルペーパー』 制作年1989年 公開1990年 制作国イングランド

この映画の話がやれる。


二十歳がそこらの主人公チャールズは、

姉と彼女の夫(失業を繰り返すブコウスキーチックなナイスガイ)のお家に居候しており、

ガールハントより他にやることがないというような青年であります。

しっかり二枚目というような種類の主人公ではない。

なんですけども次から次へと女のコが途切れない。

僕にとって衝撃というと大袈裟になっちまうからあれなんだけど、

上記のアメリカ青春映画における観念、

ありのままの自分でいい。ありのままの自分を受け入れてくれる恋人が必ずや現れる。

こういう意識が主人公チャールズにはまったくねえんですよ。


僕は思春期の始まりにアメリカ青春物を観すぎた故か、

「俺がどんなに奇人だろうとダサかろうと好きになってくれるギャルはいる」

こうした錯誤に陥っていました。(ギャル……)



ー後編へ続く







text by haiena

haiena 
職業 パートにてtrack maker(beat maker)
          本業は墓荒らし見習い
出身 東京の東側
年齢 およそ青年というそれではない。
好物 焼きめし、豆腐




illustration by Sally

Sally
とりあえず、日々絵を描いています
たまに音楽も演ります
それからたまに、ちょっとしたお話も創ります
それから、それから…まァそんな感じです





はちみつバード

わたしたちの日常はふと、 ノスタルジックなファンタジアに彩られる。 わたしだけが選べる、わたしだけのかわいい日常。 ことばと。写真と。

0コメント

  • 1000 / 1000