仕草の後に残るもの
特に厳しく育てられたわけではありませんが
きちんとしていることに
居心地の良さを感じます。
整然としたものに出会えたときには
背筋が伸びるような
きゅっと気持ちが引き締まるような
気持ちの良い感情が湧き起こります。
咳払いさえ躊躇してしまうくらいに静謐とした図書館で
暗黙の内にうるさくしないように
利用する人が配慮している、
そんな共通する認識にも清々しさを感じます。
わたしの中の「きちんと」は
整理整頓とか
掃除が行き届いた綺麗な環境とか
そういったことではなくて
その人に染みついた美しい習慣が見えた時
そこに気持ちよさを感じるのだと思います。
今回の写真は
まさにわたしの中での気持ち良さが極まった一枚です。
靴を脱いで家に入る。
日本で生活している人なら誰でも自然に行う習慣ですが
脱いだ靴を「きちんと」揃えて置く
そんなちょっとした一手間を見かけると
靴の持ち主の美しい習慣を垣間見た気がして
何とも言えない喜びが込み上げてくるのです。
郷土史博物館のレトロな窓のある薄暗い下駄箱
見学者は数名いたと思います。
わたしも含め半ば放り込むように靴を下駄箱にしまう中
たまたま見かけた
きちんと揃えられ向きを変えられた一足の靴。
気持ちが凛とするそんな光景に
この瞬間を逃してはならないと
慌ててシャッターを切ったのを覚えています。
きちんとしている仕草の後を見かけると
その人の美しい習慣が
まるで残り香のように漂います。
そんな時には必ず
ホッとするような心地よさで
頬が緩んでしまうのです。
photo & text by sui
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2018.08.05 02:10
2018.08.05 01:00