Uguistyle~7 私の想い出の1曲




むかし学生時代の頃。

特に高校生の頃。


クリスマスが近づくと気分がしずみました。

街のどこへ行っても

BGMはクリスマスソング。

学校からの帰り道の商店街も駅前のデパートも

サンタやツリーで綺麗に飾られて。


ウキウキするどころか薄暗い気持ちになる。

早く終わらないかなぁ……。

どうしてかな?

その時はなぜだかわからなかった。


失恋したわけでもなく、

辛いエピソードがあったわけでもなく。


でも今になってみて

他の誰よりも一番幸せなクリスマスを過ごさなくちゃ!と

高い高いプライドがそうさせていたんだとわかるのです。


*****


真っ黒になってラケットかかえて

憧れだった「お蝶夫人」とは縁遠いテニス人生。

こわい部長の私がテニスコートへ行くと

それまで仲良くラリーをしていた男子と女子が、

蜘蛛の子散らしたようにいなくなる…


クリスマスが淋しいなんて死んでも言えません。

青くて堅い部長女子は

なぜ暗くなるのかわかってなくて。


*****


そんな私に

急転直下で年上の彼氏ができました。

何もかもが大人の彼に叶うものはなく

部長のプライドはそのままで

最初は夢のようでも

うまくいくわけがなく。

幸せ絶頂は一瞬で終わりました。


そんな彼に

「聴いてごらん」とプレゼントされた

大瀧詠一の「A LONG VACATION」。

ジャケットの一番最初に流れた曲が

「君は天然色」。


クリスマスのプレゼントでもなく、

冬の曲でもなく、

全然関係ないのに。


この時期になると想い出すのです。

「切なくてどうにもできなくて」

「なんだかわからないけど淋しい」

そんな気持ちと一緒に。


*****


もう二度と会うこともないあの彼は

最近また耳にするこの曲を聴いても

何も思わないことでしょう。


*****


切ない想い出の曲を聴きながら

脳内で都合のいいように、

口の中で飴玉ころがすように、

想い出にひたる。


はちみつバード世代の特権です。






text by uguisu

uguisuがお届けする、はちみつバードの身近な生活スタイル。
懐かしい乙女心。Uguistyle。




はちみつバード

わたしたちの日常はふと、 ノスタルジックなファンタジアに彩られる。 わたしだけが選べる、わたしだけのかわいい日常。 ことばと。写真と。

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