むかし学生時代の頃。
特に高校生の頃。
クリスマスが近づくと気分がしずみました。
街のどこへ行っても
BGMはクリスマスソング。
学校からの帰り道の商店街も駅前のデパートも
サンタやツリーで綺麗に飾られて。
ウキウキするどころか薄暗い気持ちになる。
早く終わらないかなぁ……。
どうしてかな?
その時はなぜだかわからなかった。
失恋したわけでもなく、
辛いエピソードがあったわけでもなく。
でも今になってみて
他の誰よりも一番幸せなクリスマスを過ごさなくちゃ!と
高い高いプライドがそうさせていたんだとわかるのです。
*****
真っ黒になってラケットかかえて
憧れだった「お蝶夫人」とは縁遠いテニス人生。
こわい部長の私がテニスコートへ行くと
それまで仲良くラリーをしていた男子と女子が、
蜘蛛の子散らしたようにいなくなる…
クリスマスが淋しいなんて死んでも言えません。
青くて堅い部長女子は
なぜ暗くなるのかわかってなくて。
*****
そんな私に
急転直下で年上の彼氏ができました。
何もかもが大人の彼に叶うものはなく
部長のプライドはそのままで
最初は夢のようでも
うまくいくわけがなく。
幸せ絶頂は一瞬で終わりました。
そんな彼に
「聴いてごらん」とプレゼントされた
大瀧詠一の「A LONG VACATION」。
ジャケットの一番最初に流れた曲が
「君は天然色」。
クリスマスのプレゼントでもなく、
冬の曲でもなく、
全然関係ないのに。
この時期になると想い出すのです。
「切なくてどうにもできなくて」
「なんだかわからないけど淋しい」
そんな気持ちと一緒に。
*****
もう二度と会うこともないあの彼は
最近また耳にするこの曲を聴いても
何も思わないことでしょう。
*****
切ない想い出の曲を聴きながら
脳内で都合のいいように、
口の中で飴玉ころがすように、
想い出にひたる。
はちみつバード世代の特権です。
text by uguisu
uguisuがお届けする、はちみつバードの身近な生活スタイル。
懐かしい乙女心。Uguistyle。
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