終わりの美学
はらはらと舞い散る桜。
川面に流れ着く花筏。
満開の生き生きとした桜の花も美しいけれど
栄華を過ぎて散っていくさまにも
雅な美しさを感じます。
日本人の根底に流れる
「終わりの美学」は世界でも稀有な存在かもしれません。
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先日、職場の先輩が退職されることになりました。
彼女の補佐という形で10年近く働き
後を引き継ぐ形でそのポストに就くことになったわたしですが
事情があり退職までの期間が短く
ゆっくり引き継ぎをしてもらえる状態ではありませんでした。
ある朝出勤してみると
細かくまとめられた資料が
そっとデスクの上に置かれていました。
わたしが困らないように微に入り細に入り丁寧に。
資料を読みながら
彼女の仕事に対する意識の高さと責任感に
去り際の美しさを感じました。
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今回の写真は
花が散り始めた少し寂しげな枝を
愛でるようにそっと手を添えようとしている仕草に美しさを感じた一枚です。
散りゆくものにも美しさを感じ愛でる
そんな日本独特の感性は素敵だなと思います。
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実はわたしには若い頃
若気の至りで仕事を辞めた苦い過去があります。
依頼された仕事が嫌で逃げ出したのです。
わたしに期待して依頼した上司の顔に泥を塗り
周囲に迷惑を掛けて。
辞める最後に
「あなたは社会人には向いてない」
菩薩とまで言われた上司にそう言われた時の
後悔と恥ずかしさたるや。
数年後再就職した先では
あの時の後悔を教訓に気づけば10年。
先輩のまとめた資料を見ながら
去り際の大切さを実感しています。
sui
photo & text by sui
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