5月31日(金)〜6月2日(日)の3日間、雰囲気写真家スイさんの初の個展が吉祥寺にある『ギャラリーイロ』にて開催されます。はちみつバードの初期からのメンバーでいつも独特の美しい空気を連載も人気の彼女が、なぜ写真を始めたのか、どういう経緯で初の個展開催に至ったのか。日頃、滅多に自分のことを語らないスイさんに、わたくし夏色インコが突撃インタビューを決行。ひとりの女性としてのストーリーを聞かせていただきました。
photo by sui
ー夏色インコ(以下インコ)
*スイさん、写真家として初めての個展がもうすぐですね。おめでとうございます。
待ち望んでいた方々が大勢いらっしゃるんじゃないかしら?今回個展を開催しようと
思われたのは、何かきっかけがあるのですか?
ースイ
*まずはお祝いの言葉ありがとうございます。
そもそものきっかけは、uguisuさんとcherryさんの展示会を観て楽しそうだなぁと
思ったことです。個展を開催したいという気持ちは以前からあったんですが、
ブログから飛び出す勇気がなくてずっと足踏みしていました。
そんな気持ちを払拭してくれたのが、お二人の展示会での楽しそうな姿でした。
ー夏色インコ(以下インコ)
*そうだったんですね!スイさんの身近に刺激的な方たちがいるのも、
類は友を呼ぶ、っていうかとても自然な感じがします。そんなスイさん、
今回の個展に込めた思い、というのがあればお聞きしたいです。
ースイ
*そうなんです。
写真つながりのブロガーさんの個展には何度か行かせていただいてますが、
皆さんのレベルが高いのでわたしなんてとてもとても…って(笑)
でも、楽しむためならそれもありかなぁって思わせてくれたのがお二人だったんです。
個展に込めた思いは… 自分だけでなく、観に来て下さる方が愉しんでいただけるような
個展にしたいなという思いがあります。 当初は、ブログの延長線上という位置付けのもと
ブログの読者さんに愉しんで貰えれば…と 割と小さい規模で考えていたんですが
色々な気づきがあったお陰で、ブロガーさんだけでなく、スイという存在を知らない人が
観に来てくださっても「雰囲気写真」を愉しんで貰えるような個展にしたいと思っています。
そして、ご覧になった方々それぞれが感じるストーリーを愉しんでいただけたらと
願っております。
ーインコ
*スイさんが初めてカメラに目覚めたのはいつ頃ですか?
そして、「雰囲気写真」を名乗るようになるまでにどんな経緯があったんでしょうか?
ースイ
*元々はカメラマンをしていた叔父が若くして亡くなった時に、形見にもらったのが
ニコンの一眼レフでした。高校生の時にそのカメラを使って撮った写真を
父親が勤めていた会社の社内コンテストに応募して、優秀賞をもらったのが
写真に目覚めたきっかけです。 当時、叔父のようなカメラマンになりたいから
写真の専門学校に行きたいと親に告げたら、猛反対。わたしもそこまで腹を括って
やり通せる自信もなく別の道に進みました。
しばらくは本職に忙しくカメラを触る余裕もなかったんですが、ある日CONTAXG1という
レンジファインダーのカメラで撮った写真を見てガーンと衝撃を受けまして…
若い時分には高い買い物だったんですが数十万注ぎ込んで一気にレンズも揃えました。
技術もないのにそんなカメラを持っても中々良い写真も撮れず…当たり前ですがすぐに挫折。
きちんと写真の事を学ぼうと門を叩いた写真クラブで、作品としての写真の撮り方を
かなり厳しく指導してもらいました。テーマを決めて週一回の例会で作品を発表し
批評してもらうという事を2年間続けました。当時、古民家に暮らす人々の暮らしを
テーマにしたくて、これは!と思う方のお宅に何度も出向いて撮影させてもらうという
かなり積極的なこともしていました。結局は結婚を機にまた写真から離れる生活に
なるんですが、5年ほど前にブログを始めたのをきっかけに写真を再開させました。
その時にブログのサブタイトルに選んだのが「雰囲気写真をたのしむブログ」という
言葉でした。きちんとしたカメラの技術がないのがコンプレックスだったので、
美しい広告写真のような物は撮れないけれど、わたしらしい写真って何だろう?と思った時に
綺麗な写真というよりはその場の雰囲気を伝えられる写真なのかな…と考えて
そこから「雰囲気写真」という言葉が生まれました。
「雰囲気写真家」と名乗るようになったのは、フォトカードを販売するにあたって
肩書きが必要かなと思って。写真家、フォトグラファーと名乗るには敷居が高かったので
「雰囲気」を付ければマイルドかなと思って(笑)付けました。
photo by sui
ーインコ
*そうだったんですか!では、学生のころから写真を仕事にしたいと思ってらしたんですね?
それが数十年の時を経て形になっているというのは、どんなお気持ちでしょうか?
ースイ
*わたしはそこまでの感慨はなくて、一つ一つの事をクリアしていったら、いつのまにか
そういう形になっていったという感じです。意外にも猛反対だった両親、特に叔父の姉である
母親が喜んでくれた事が嬉しかったです。
ーインコ
*子どもの頃やりたかったことって、どれだけ年月が経ってもずっとその気持ちは
残ってたりするものかも。私も思い当たる節があります。どこかでそれを形にできたら、
それは幸せなことだと思う。
スイさんの写真て、どこか観たひとの気持ちを明るくしたり、ほっこりとさせたり…
なんて言うか、表現されているもののなかに被写体が持つ輝きのようなものを感じるんです。
それは、人物であっても、風景であっても。
何か、撮る時に意識されていることってありますか?
ースイ
*インコさん褒め上手(笑) 皆さんそんな風に優しい目線で見てくださるのがとても有り難いなと
最近つくづく思います。意識している事というと技術的なことを問われているのかも
しれないんですが… そこは語れるほどの物を持ってないので(苦笑)
感覚的で申し訳ないんですが 偶然撮れた〜という出会いを意識してます。
インコさんも撮る側だから分かると思うんですが、奇跡の一枚って最高に嬉しくないですか?
テーマ決めとか色々考えると全く撮れなくなってしまうので、その時の気分でこれ!と思う
撮り方で撮ってます。多分、気持ちが上向いてる時しか撮らないので、明るい雰囲気に
なるんでしょうね。やっぱり単純なんですね(笑)
ーインコ
*今回の個展で、そんな奇跡の一枚に出会えるかもしれないんですね。
ますます楽しみになって来ました。そんななかでも、スイさん的に「ここは見どころ」と
いうのがあれば、ぜひ教えていただきたいです!
ースイ
*個展の見どころは…どれも見どころなんですが〜(笑) 敢えてあげるなら、DMにもなった
weddingシリーズですね。既にフォトカードにもしているこの写真ですが、タイトルも
展示用に少し変えました。そして、永遠の愛を誓い合う「しあわせ」というメッセージ
だけでなく、結婚式に対する捉え方の違いをデジタル写真だからこその手法で
表現しています。
ーインコ
*わたしも好きな写真です!これがシリーズになってるんですか? それは素敵ですね。
DMといえば、ちょこんと描かれたイラストがとっても可愛らしくて。
スイさん絵心もあるんですね。 写真以外には、どんなことに興味がありますか?
ースイ
*あはは!イラスト(笑) 実は学生時代は先生の似顔絵良く書いてました。
写真意外に興味のあること… インドア派なので実はあまり活動的ではないんですよ(苦笑)
休みの日に夫とスイーツ食べに出掛けるのが楽しみだったりします。
図書館とカフェが一番好きな場所かも。つまんないですね(笑)
ーインコ
*写真のことも本業のお仕事もしっかりやられて、でも素顔は家族思いでご主人に愛されていて…
どんだけ理想なんですか(笑)今回の個展では、ご主人と一緒に出かけられて撮影したものも
出展されていますか? わたしはスイさんの風景画もとても好きなんです。
ースイ
*いえいえ。我が家も紆余曲折あっての現在です。結構口喧嘩も多いですよ。
自分の意見を主張しないと負けなので声が枯れた原因の一つはこのせいかも(笑)
もちろん鉄旅の写真も展示します!
ーインコ
*旅鉄!プリントされたものが観れるなんて感動‥ご夫婦で同じ趣味って素敵ですよね。
いや、声が枯れたのご主人のせいにしちゃかわいそうな気が(笑)
個展のこと、ご主人はなんて言って見えますか?アドバイスなどもあったんでしょうか?
ースイ
*個展に関しては全くのノータッチです。観にきてくれるのかも不明(笑)
photo by sui
ーインコ
*えっ!そうなんですか?何故かちょっと残念な気分(笑)
では、何から何までスイさんお一人で?
ースイ
*そうなんです。
そこを救ってくれたのが、アートディレクターのご夫婦で、展示のイロハを徹底的に
教えてくれました。当初は一人で全部やろうと思ってたので、今考えると恐ろしいですね…
ーインコ
*専門家の方にアドバイスをいただける、ということがなかなかないことで素晴らしいと
思うんですが、そもそもスイさんの写真がその方々のお眼鏡に叶わなければ、そんな話も
なかったかもしれない。今回、個展を開催されるのは初めてだそうですが、これまでの
経緯も含めてそういういろんなことが重なりあって高まりあってできたのかな、というのを
感じます。やっぱりそれは、学生時代に叔父さんと出会った、そこから繋がって来てるんじゃ
ないかな、って。
あと、わたしがスイさんに常々感じていて尊敬してるポイントがあるんですけど、
ひととの距離感が心地よいですよね。こちらが辛いときは一声かけてくれるきめ細やかさが
あるんだけど、かと言って普段いつもベッタリなわけではなく。割とご自分の意見も
ハッキリと言ったりしますよね? そんな軽やかなところが、わたし以外の皆さんにも
好かれる理由だったり、作品自体にも表れてるのかもしれない、なんて思うんですが。
ースイ
*ここでカミングアウトするのも何なんですが、ディレクターさんの奥さまはわたしの
親友なんです(笑) 親友のご両親もアーティストで昔からセンスの良さはピカイチ。
持って生まれた才能のDNAを目の当たりにしたら、趣味に毛の生えたようなわたしが
フォトブログを書いているだなんて恥ずかし過ぎて話せず、やっと話せたのが昨年の
秋頃でした。 初めて親友にカミングアウトした後、どういう感想をもらうか物凄く
緊張してて… 彼女は全くお世辞とか言わない人だから、ちょっとマツコデラックス的な
ズバリ言うわよな感じの人なので(笑) まあ、シロウトさんだからこんなものだよね〜って
言われるかなぁとドキドキしてたんですね(苦笑)
その後ブログやインスタを見てくれた彼女から、今度写真を旦那に見てもらったら?って
声を掛けてもらって図々しくも大量のポートフォリオを持参して写真を見てもらったんです。
勿論、駄作もしっかり指摘してくれましたけど、大方の写真を「作品として販売出来るレベル」
だと評価してもらえたんです。 第三者的にお二人の共通のアーティストにも写真を見せた
そうで、その人からは「邪気のない素直な写真」という評価をしてもらったと後から
教えてもらいました。 なんだ身内か〜と思う方もいるかもしれませんが、わたしの中では
一番敷居の高い人たちだったので、そんな評価をしてもらえて物凄く嬉しかったんです。
しかも、個展の助っ人をするにあたっても、それなりの作品だからこそ、ちゃんとした
展示にしないと!って使命感が働いたけど、まあこんなものだよね〜レベルだったら
どうぞご勝手に〜って遠巻きにしてたよって。それなりのレベルと認められて良かったと
この時心の底から思いましたほんとに(笑)
ーインコ
*やっぱり!! って言うのは、プロの方々から見ても販売できるレベルというのがね、
やっぱりそうだよねー、って何故かこちらまで気分が上がりました!
「それなりの作品だからこそ、ちゃんとした展示にしないと」とお相手に使命感を芽生えさせる、
そんな力がスイさんの写真にはあるということ、 そしてそれがポッと湧いたものとかじゃ
なくて、血のつながった叔父さまから脈々と受け継がれているものだということに、
インコは感動しています。まさに、はちみつバードな女性たちそれぞれの皆さんのなかに
感じて欲しいものというか…みんな一人一人にそういうものが、あるってことを。
もっといろんなことをお聞きしたいのですが、スイさんもいま最高にお忙しい身だと
思いますので… 最後にひとつだけ。スイさんにとって、写真とはなんですか?
ースイ
*こだわり出すと色々あるのかもしれないんですが、わたしの中では 写真と言ったら
「たのしむもの」と思ってます。 撮ってる間も楽しくて、撮った後に編集するのも楽しくて、
さらにその写真を共有して観てくださって感動してもらう事自体も楽しくて。
全てが「たのしむもの」として繋がってるんだなと。 年齢的にもプロになろうが、
趣味だろうが楽しみながらやっても良い年齢ですし、それぐらいのスタンスが無理せず
次の作品を作る糧になるのかなって思ってます。
ーインコ
*たのしめるもの、 っていうのは、純粋に自分のやりたいこと、こころを満たすもの
なんじゃないかな、って気がします。 今回の個展では、そんないまの、等身大のスイさんに
お会いできるのかな。大勢の方々に、スイワールドに触れて欲しい。
わたしも楽しみにしています! ありがとうございました。
スイ初個展
「雰囲気写真館」一瞬の情景につづくストーリー
2019.5.31(金)〜6.1(日)
11:30~20:00(最終日のみ〜18:00)
吉祥寺 ギャラリーイロ http://1-6.jp
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-37-7 101
(吉祥寺駅より徒歩7分)
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