すずまき*音楽と、紅茶と、あの頃と。#番外編



#番外編「ELECTRIC PROPHET」×LUPICIA ROSE' ROYAL


クリスマス企画『わたしの思い出の一曲』ということで、今回は「本と、」ではなく「音楽と、」で書かせていただきます♪


この曲に出会った頃、わたしは高校生でした。
わたしが通っていた高校は、当時創立10年そこそこでしたが地域では知らない人がいないほどのバリバリの進学校でした。
7時間目まで授業があり、1時間目の前と放課後と各科目の授業中にも小テストがあり、休みの日は模試三昧、夏休みと冬休みは補講という名の全員出席の授業、さらに部活も手を抜かない…今思い出しても毎日ハード過ぎるスケジュールで、よく生活できていたなぁと恐ろしくなります。
校則も中学校以上に厳しかったな…。

勉強に部活に超ハードスケジュールでありながら、そこは女子高生、そんな合間を縫って好きな本や漫画を読んだり、友達と好きなアーティストの話題で盛り上がったり、それなりに楽しく過ごしていました。

当時わたしがのめり込んでいたのはTM NETWORK(以下TM)。
中学の頃友達が聞いていて、彼女に勧められてわたしも心を奪われてしまいました。
以来ちょこちょこ過去のアルバムなどを友達から借りてダビングしたり、自分でお小遣いを貯めてCDを買ったりしていました。

そんなある日、別の友達からまだ聴いていなかったTMのミニアルバムを借ります。
その中の最後の一曲、この曲に魅了されてしまったのです。
小室哲哉氏の音楽には毎回毎回衝撃を受けますが、何より歌詞に撃ち抜かれました。



TMネットワークーELECTRIC PROPHET


以来、ことあるごとにこの曲に励まされ、勇気づけられ、助けられてきました。

この曲をCDウォークマンで一曲リピートのエンドレスで聴きながら、日記帳に一年の大反省会と称して数ページ書きなぐる…というのが高校時代から10年間くらい、大晦日と誕生日の恒例行事となっていました。

本当に何度この曲を聴いて涙したことか…。今だにイントロを聴くだけでうるうるっときてしまいます。
今も車の運転中にTMをよく聴いていますが、この曲だけは聴きません。
何故なら泣けてしまって運転どころじゃなくなってしまうから。

初めて聴いた高校生の頃から、ずっとこんなことを言ってくれる人が欲しいと思っていました。
その頃わたしがなりたいと思っていた自分は「クールでシャープな大人の女性」。
いつもいつも周囲には強がって、歯をくいしばって、無理をしてカッコつけて生きてきました。
友達もたくさんいたし、恋人もいたこともある。
でもそれでもずっと、この曲で泣いてしまうのは、友達であろうと恋人であろうと、わたしが周囲に弱みを見せられない、甘えられない不器用な天邪鬼だから。
誰も居ないところでひとりこの曲を聴いて、泣いてはバランスを保っていたのです。

…そういえば長らくこの曲を聴いてなかったな。
この曲に頼らなくてもいいくらい、弱みを見せても甘えても許される存在を見つけることができたからかな。


この曲を聴きながら飲みたいのは、ルピシアのロゼ ロワイヤル。
茶葉の中にキラキラ可愛いピンクと銀のアラザンが入っていて、淹れるとそのキラキラの箔が水色の中に煌めきます。
まるでクリスマスツリーの飾りみたい。

キラキラは小室氏のピアノの音であり、宇都宮氏の澄んだ声であり…。
音も紅茶も、わたしの中に取り込まれて染み込んで、一層キラキラを増していきます。

口の中には苺のシャンパンのような甘酸っぱい香りが広がります。
大人でありながら少女の心を持ち続ける、可憐な女性のイメージ。
ベースのダージリンのイメージも、わたしの中ではキリッとしていて高貴で優雅だけど、何処か天真爛漫で無邪気なお姫様のような感じ。
どちらもわたしの中ではこの曲の「君」のイメージと一緒です。

「クールでシャープな大人の女性」になりたいと言っていたくせに、おそらく実は本当になりたかったのは、そんな女性だった???


久しぶりに聴いてみました。
…でもやっぱりイントロでもう、鼻の奥がきゅううっとして、鳥肌が立ってきます。

今はそうだなぁ…大人でありながら少女の心を忘れない、キリッとしているけど何処か無邪気な、そんな大人、いいですね。
そんな女性になりたいな。

これからもこの曲にはこっそりと頼らせていただきたいと思います。


Merry Christmas ☆



「ELECTRIC PROPHET(電気じかけの予言者)」TM NETWORK
作詞・小室哲哉/作曲・小室哲哉、木根尚登
EPIC/SONY RECORDS(1985年)





photo & text by すずまき

紅茶コーディネーター、紅茶学習指導員。
普段は某大学で図書館司書(パート)の仕事をしています。
学生の頃の夢は「良妻賢母な司書の小説家」…とりあえず 「妻」と「司書」にはなれました。
書くことが好きで、書き出すと止まらなくなります。



はちみつバード

わたしたちの日常はふと、 ノスタルジックなファンタジアに彩られる。 わたしだけが選べる、わたしだけのかわいい日常。 ことばと。写真と。

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