sui 情景のある仕草 4


情けない話


昨年は不漁のため高くて買い控えていた秋刀魚。

今年は大豊漁だそうです。

ピンっと背筋の伸びた焼き秋刀魚が

食卓に登場する機会もかなり増えるのではないでしょうか。

少し焦げ加減の皮と油の乗ったぷっくりとしたハリのある身を

たっぷりの大根おろしと柚子でいただく。

想像しただけで喉が鳴ります。


夫は秋刀魚をいつもうっとりするくらい綺麗に食べます。

毎回気持ち良いくらいに身ぐるみはがされ

骨と頭だけになった秋刀魚がお皿に残る様子に

「食べるの上手いね」としみじみ呟くわたしに

「あなたはほんと下手だよね」とポツリ。

無残に食べ散らかした秋刀魚の残骸を眺めて

苦虫を何度噛んだことか。


今回の写真はそんな会話が繰り広げられた

ある日の食後に撮った一枚です。


美しい箸使いは親の教養と躾の賜。

姉は徹底的に親から注目されていましたから

それは美しい箸使いを身につけました。

わたしはそんな姉の影に隠れて

かなり自由にさせてもらっていました。

それでも母親からは「恥を欠くのは自分だからね」と

何度も言われて育ちはしましたけれど。


大人になるとそれを指摘してくれる人は誰もいません。

唯一指摘してくれたのは夫だけ。

箸使いからはじまってナイフフォークの正しい使い方まで

まるでプリティーウーマンを地でいっているような

かなり情けない話ですけれど。


それでも器用不器用が関係あるのか

一向に身につかない美しい箸使い。

今年の秋はきっとわたしを苦しめる

そんな気がしてなりません。





photo & text by sui

はちみつバード

わたしたちの日常はふと、 ノスタルジックなファンタジアに彩られる。 わたしだけが選べる、わたしだけのかわいい日常。 ことばと。写真と。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • スイ

    2018.09.14 23:58

    @cocotanこちらへのコメントありがとうございます!cocotanさんのところも同じ感じなんですね。同士が増えて嬉しいような(笑)綺麗に食べる人からするとコツがあるから簡単だし、内蔵も美味しいって言うんですけどね。。。そもそもあの内蔵も苦手なんですよね^^;ところでcocotanさん曲のアレンジされているんですね!わたしからするとそういう才能がある人も尊敬してしまいます^^
  • cocotan

    2018.09.14 13:58

    スイさん~*こちらにこんばんは! 芸術かと思うほどの秋刀魚の裸んぼ姿に、その洗い立てのような器に、歓喜の声を上げてしまいました!ご主人、きっとあらゆる所作が美しいのでしょうね♡うちは、私だけがダメダメで、家族皆、魚の塩焼きは心得た食し方をします・・・、立場ないです(汗) ところで、今ね、チョップスティックス、っていう曲をアレンジしてるので、思わぬ「お箸つながり」に反応しちゃいました!(どうでも良いこと、スミマセン)お邪魔しました~。